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2025.12.15
環境対応プラスチック

東商化学推進プロジェクト:ケミ・リサSENDAIで切り拓く、ケミカルリサイクルの取り組み

使い捨てプラスチックの利用が環境問題として注目される中、プラスチック資源を未来へ届けるための「効率的で低炭素なサイクル」の構築が急務となっています。特にポリスチレン(PS)を対象としたPSケミカルリサイクルは、サステナブルな世界を実現するための鍵として、注目を集めています。

PSケミカルリサイクルの技術と強み

ケミカルリサイクルとは、使用済みプラスチックを熱分解し、一度「分子の状態」にまで戻してから再度プラスチックに重合(再構成)する手法です。この技術の最大の利点は、再生された材料がヴァージン材(新品)と同等の品質・物性を保持できる点にあり、これにより食品容器や高品質材への再利用が可能となり、低炭素かつ高度な完全循環リサイクルシステムが実現します。このPS完全循環リサイクルシステムについて、東洋スチレンと東商化学が連携して推進しております。

PS完全循環リサイクルシステムの仕組み

PS完全循環リサイクルシステムは、「分別」「輸送」「品質」の3つのポイントに重点を置いています。

  1. 分別: イベントで使用するプラスチックをポリスチレン(PS)に統一します。
  2. 輸送: 現場で回収・減容(インゴット化など)することで、分別作業と輸送エネルギーを削減します。
  3. 品質: ケミカルリサイクルによりPSを分子構造まで分解し、高品質な材料として完全循環させます。

この実証は、中目黒やつくばなど全国各地のイベントで展開されており、仙台市でも取り組みが実施されています。例えば、昨年9月に定禅寺通で行われたゼロカーボンPRイベントでは5.7kgのPS容器が回収され、11月に仙台国際センターで開催されたEcoBalance2024(LCA国際会議)では、再生PSカトラリーの使用と回収(21kg)がイベントとして初めて行われました。回収されたスプーンはアップサイクルされ、ノベルティとして配布されるなど、具体的な循環の形も示されています。

スポーツ界初の試み「ケミ・リサSENDAI」

特に注目されるのが、サッカーJリーグ・ベガルタ仙台が取り組む「ケミ・リサSENDAI」プロジェクトです。これは、日本のプロスポーツイベント初となる、スタジアムグルメで使用する容器の完全循環を目標としたケミカルリサイクルプロジェクトです。

ベガルタ仙台は、リサイクルを通じて「仙台(未来)に愛を送りたい」という目標を掲げ、プラ廃棄ゼロの取り組みを東北から全国へ広げることを目指しています。この取り組みでは、スタジアム内の飲食売店で使用される使い捨てプラスチックをPS製品に統一し、スタジアム内の回収ステーションで一括回収します。回収された容器は、その場で減容(インゴット化)され、東洋スチレンのケミカルリサイクルプラントで分子レベルにまで分解し、PSに再生された後、再度食品容器として再利用され、資源の完全循環が目指されます。

ただし、再生PS製造時の品質変動や収率低下を防ぎ、リサイクルの品質を維持するため、異なる種類の樹脂や異物が入らないことが重要です。そのため、スタジアム外から持ち込まれた容器、ポリスチレン以外の容器、あるいはカレーやソースなどで汚れた容器は、再資源化できないため回収不可とされています。

この画期的なプロジェクトには、ベガルタ仙台のプロジェクトパートナーとして高速、仙台市、東洋スチレン、Pyro、東商化学などが参画し、連携して推進しています。
東商化学は今後も、各企業・行政と連携してケミカルリサイクルを推進してまいります。

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