プラスチックとは合成樹脂のことで、石油などを原料として化学的に合成した素材でありJISでは「高分子物質(合成樹脂が大部分である)を主原料として 人工的に有用な形状に形作られた固体である。ただし、繊維、ゴム塗料、接着材などは、除外される」と定義されています。プラスチック(Plastic)の語源は、ギリシャ語の形容詞「plastikos(可塑性のある)」と言われていることもあり、熱を加えることで簡単に溶け、自由に変形する性質を持つため同形状の成形品の大量生産が可能となります。またプラスチックの中には耐熱性が高い樹脂や、金属の様に硬い樹脂、軽くて丈夫な樹脂等、合成する素材によって様々な特性を付加させることが可能です。さらに金属のように錆びることや木材のように腐ることのない素材ですので使用場所を選べば金属をもしのぐ材料となっています。
プラスチックは大きく加熱すると硬くなり元には戻らない性質の「熱硬化性樹脂」と、加熱すると軟らかくなり冷やすと固まる性質の「熱可塑性樹脂」の2種類に分類されています。ただ、流通しているプラスチックの90%を占めている熱可塑性樹脂です。
熱硬化性樹脂は、加熱することで化学反応を起こし、三次元網目状の強固な構造を形成するプラスチックです。一度硬化すると再加熱しても溶融せず、元の形状に戻ることはありません。この特性から、耐熱性、機械的強度、電気絶縁性、耐薬品性に優れているという特徴があります。主な種類としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられます。熱硬化性樹脂は一度硬化すると再加工が難しいため、リサイクルが困難という課題もあります。しかし、その優れた特性から、自動車、航空宇宙、電気・電子、建材など、幅広い分野で不可欠な材料として利用されています。
熱可塑性樹脂は、加熱すると軟化・溶融し、冷却すると再び固まるプラスチックです。このプロセスを繰り返すことができるため、再成形やリサイクルが可能な点が大きな特徴です。 熱可塑性樹脂は衝撃性、低コスト、量産性に優れています。主な種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルといった汎用プラスチックがあります。熱可塑性樹脂は、その成形性の良さとリサイクルのしやすさから、環境負荷低減の観点からも注目されており、持続可能な社会の実現に貢献する重要な材料です。
下記にて代表的な成形材料の特徴や用途、注意点、成形条件、物性などをご紹介します。
当社の設定条件では一般的に下記の通りの数値で成形を行っております。
ポリアミド(ナイロン)は耐衝撃性や耐薬品性に特に優れ、電気特性にも優れており低温でも物性が劣化しないのが特徴です。ただ吸水性があり、成形前に十分な乾燥をしておかないと、所定の性能が得られなくなり、寸法精度が悪くなったり、材質変化してしまったりするために成型時には樹脂の温度を高く設定する必要があります。
シリンダ温度:220~300℃(ナイロン6)、250~350℃(ナイロン6-6)
金型温度:20~90℃
射出圧力:800~1300kgf/㎠
ポリプロピレンとは一般的に使用されるプラスチックの中で最も比重が軽く、流動性にも優れているのが特徴です。ただ、成形収縮が大きいので、金型の冷却を十分に行わないと成形ひずみが生じるので、ヒケや空洞など不良が出やすいので、射出圧力を若干高めに設定することと温度調節を行うこと必要があります。
シリンダ温度:180~300℃
金型温度:20~90℃
射出圧力:600~1300kgf/㎠
ポリエチレンは低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの2種類に分類され、低密度ポリエチレンは柔らかく、成形性に優れているのに対し、高密度ポリエチレンは剛性のため耐衝撃性に優れています。金型温度の高い低いによっては、成形サイクルが長くなる場合や成形品の表面がはがれるといった問題が発生します。
シリンダ温度:150~270℃(低密度)、200~300℃(中・高密度)
金型温度:20~80℃
射出圧力:500~1300kgf/㎠
ABS樹脂とは、アクリロニトリルブタジェンスチレンの略称で弾力性があり、割れにくいという性質を持っています。ただ吸湿性があるので、成形前には必ず乾燥をしておかないと、表面に気泡が生じたり、クラック(割れ)などが起こりやすくなります。
シリンダ温度:180~300℃
金型温度:40~80℃
射出圧力:560~1300kgf/㎠
ポリカーボネートは、プラスチックの中で最高の耐衝撃性を持つプラスチックです。加えて可視光線透過率80〜90%の高い透明性と酸素指数24〜25の自己消火性を持つため、カメラレンズに使用されています。ただ吸水性があるので、成形前に乾燥させることが重要です。また金型温度の高い低いによって、成形サイクルが長くなる場合やや歪みが発生する場合があるので注意が必要となります。
シリンダ温度:250~380℃
金型温度:80~120℃
射出圧力:700~1300kgf/㎠
フェノール樹脂は熱硬化性樹脂で、加熱硬化後に優れた耐熱性・電気絶縁性・機械強度を発揮します。射出成形では、金型内で硬化させるため、材料がシリンダー内ですぐに硬化しないよう、シリンダー温度を低めに、金型温度を高めに設定するのが重要です。また、硬化に伴うガス発生に注意し、適切な射出速度と圧力で充填する必要があります。
シリンダ温度:80~120℃
金型温度:160~200℃
射出圧力:800~1200kgf/㎠
エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂で、硬化後に優れた接着性・電気絶縁性・耐薬品性・機械的強度を示します。射出成形では、金型内で硬化させるため、シリンダー温度を低めに、金型温度を高めに設定し、硬化が適切に進むよう管理が重要です。また、硬化時の体積収縮や、ガス発生にも注意が必要です。
シリンダ温度:70~100℃
金型温度:150~180℃
射出圧力:500~1,200kgf/㎠
ポリウレタン樹脂は熱硬化性樹脂で、硬化後にゴム弾性から硬質まで幅広い物性を示し、優れた耐摩耗性・耐油性・接着性を持ちます。射出成形では、主に反応射出成形(RIM)が用いられ、二液性の原料を混合・反応させながら金型内で硬化させます。原料の混合比率や温度管理が非常に重要で、反応が速いため迅速な充填が必要です。
シリンダ温度:20~60℃
金型温度:40~80℃
射出圧力:10~100kgf/㎠
シリコーン樹脂は熱硬化性樹脂で、優れた耐熱性・耐寒性・電気絶縁性・撥水性を持ち、幅広い温度域で安定した物性を示します。射出成形では、金型内で硬化反応が進むため、シリンダー内で硬化が始まらないよう温度管理を徹底し、金型を適切な温度に保ち反応を促進させることが肝要です。特に、加硫による収縮やデラミネーション(層間剥離)に注意が必要です。
シリンダ温度:20~60℃
金型温度:130~200℃
射出圧力:500~1200kgf/㎠
メラミン樹脂は、熱硬化性樹脂の一種で、ユリア樹脂と類似した性質を持ちます。硬化後は非常に硬く、表面光沢に優れ、耐熱性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性、耐擦傷性に優れているのが特徴です。また、着色も容易で、美しい色合いを出すことができます。
シリンダ温度:60~80℃
金型温度:150~190℃
射出圧力:800~1500kgf/㎠
プラスチック成形ソリューションNaviを運営する東商化学は、使い捨てプラスチックカトラリーの国内トップシェアメーカーとして培ってきたノウハウを生かし、多様な業界の皆様に選ばれています。24時間稼働で日産850万個を実現する完全自動化ラインとFSSC22000に準拠した徹底した安全・衛生管理を武器に金型設計・製造~射出成型、組立まで一貫対応しています。近年のバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックを活用した射出成型品の開発も行っていますので、新製品開発の委託先をお探しの皆様、お気軽に当社に御相談ください。
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