技術コラム

2024.2.15
環境対応プラスチック

捨てるから新しい価値を創造するアップサイクルとは?

アップサイクルとは?

アップサイクルとは通常では捨てられるような廃棄物を再利用し、より高い付加価値や質を持つ製品や素材に変えるプロセスのことを指します。アップサイクルはリサイクルと混同されるケースがありますが、両者は全く異なるものです。リサイクルは廃棄物を一度細かく粉砕・融解して、製品が作られる前の資源の状態に戻し、そこから製品の製造をしますが、アップサイクルは廃棄物の素材や特徴をそのまま活かして、より良い新たな製品を作り出すことをいいます。

アップサイクルに取り組むことでさまざまなメリットがあります。

①資源の有効活用

アップサイクルは廃棄物を再利用し、より高い付加価値や質を持つ製品に変えることで資源の有効活用を促進します。そのため、新たな製品を製造する場合の材料費を削減することが可能です。

廃棄物削減

廃棄物を再利用するため廃棄物の量を減らします。プラスチックは自然分解されない特徴を持っていますので、環境汚染や生態系の破壊を誘発します。そのため、アップサイクルは地球への負荷を軽減し、環境への影響を緩和させます。

リサイクル・リユースとの決定的な違い

アップサイクルを理解するために、まず「リサイクル」「リユース」との違いを明確にしましょう。

リユース(再使用)

製品をそのまま、あるいは洗浄して同じ用途で繰り返し使うことです。(例:洗って何度も使う丈夫なカトラリー)

リサイクル(再生利用)

廃棄物を一度溶かしたり、化学的に分解したりして「資源」の状態に戻し、それを原料として新たな製品を作ることです。この過程で、元の製品より品質が落ちる「ダウンサイクル」になることも少なくありません。

アップサイクル(付加価値再生)

これに対しアップサイクルは、廃棄物の素材や特徴をそのまま活かし、アイデアやデザインの力で、元の製品よりも価値の高い「全く別の新しい製品」へと生まれ変わらせることを指します。エネルギー消費を抑えつつ、創造性によって付加価値を生み出す点が決定的な違いです。

なぜ今、アップサイクルが世界的に注目されるのか?

アップサイクルが注目される背景には、従来の廃棄物処理システムの限界と、持続可能な社会への価値観の変化があります。

リサイクルシステムの限界

全てのプラスチックが効率的にリサイクルできるわけではなく、分別や洗浄の手間、再生過程での品質劣化といった課題が常に存在します。

サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行

「作って、使って、捨てる」という一方通行の経済から、資源を循環させ続ける経済への転換が世界的な目標となる中、アップサイクルは廃棄物を価値ある資源としてループさせる、重要な手法と位置づけられています。

SDGs(持続可能な開発目標)への貢献

特に「目標12:つくる責任 つかう責任」や「目標14:海の豊かさを守ろう」に対し、アップサイクルは企業の具体的な貢献策として高く評価されます。

消費者の価値観の変化

製品の機能だけでなく、その背景にあるストーリーや環境への配慮を重視する消費者が増えています。アップサイクル製品は、そのユニークな物語性で、高い共感と支持を集めることができます。

日本の地方自治体で進むアップサイクル

廃棄されるはずだった地域の名産品や資源を、自治体や地域団体が主体・連携となってカトラリーにアップサイクルしている先進的な事例をご紹介します

北海道

ホタテの生産量日本一を誇る猿払村をはじめ、北海道や青森の産地では、水産加工の際に排出される膨大な量の貝殻が産業廃棄物となり、その処理コストと環境負荷が長年の課題でした。貝殻を高温で焼成・粉末化し、プラスチック等と混合した新素材を開発し、独特の風合いと抗菌性を持つスプーンやフォーク、箸といったカトラリーが作られています。地域の厄介者だった廃棄物を、新たな価値を持つ特産品へと生まれ変わらせた象徴的な事例です。

広島県

日本の多くの地域で、管理されなくなった竹林が里山に侵食する「竹害(ちくがい)」が深刻な環境問題となっています。竹は成長が非常に早く、他の樹木の成長を妨げ、生態系を破壊する原因となります。竹害対策として伐採された竹を粉末にして樹脂と混ぜ合わせたオリジナルカトラリーや竹そのものを加工した箸やスプーンなどを製造・販売しています。自治体が伐採した竹の活用を推進し、地場産業の創出に繋げています。

アップサイクルに使われる素材例

アップサイクルを推進する企業の中には、捨ててしまう野菜や果物の皮をジャムやチップスにアップサイクルした商品を展開する企業や着なくなった洋服をアップサイクルする企業も数多くいらっしゃいます。当社ではカトラリーメーカーとして。コーヒーの搾りかすを樹脂と成形することで、プラスチック使用量を削減した環境対応品も製作しています。

当社がアップサイクルに使う素材例

卵の殻、コーヒーカス、竹粉、牡蠣殻、バーク、バナナの皮、ホタテの殻、ライスレジン

当社のアップサイクル事例

持ち運びフォーク – To Go カトラリー –

持ち運びスプーン

洗って繰り返し使用できる、持ち運びスプーンです。フォークとセットで提供させて頂いています。繰り返し使用することで、CO₂の削減につながります。当持ち運びスプーンは、国内で廃棄される樹皮を使ったバークを51%配合しています。カトラリーケースはオリジナルデザインで提供させて頂くことが可能です。

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まとめ

当社では、プラスチック廃棄物削減や、地球環境の保全に対しての取り組みとして、生分解性・バイオマスプラスチックの製造を含めた、プラスチック新法に向けた取り組みを行っています。

加えて、当社は、使い捨てプラスチックカトラリーの国内トップシェアメーカーとして培ってきたノウハウを生かし、多様な業界の皆様に選ばれています。

24時間稼働で日産850万個の生産を実現する完全自動化ラインとクラス10000のクリーンルーム、FSSC22000に準拠した徹底した安全・衛生管理を武器に金型設計・製造〜射出成形、組立まで一貫対応しています。

カーボンニュートラル実現に向けた、生分解性・バイオマスプラスチックを活用した射出成型品の開発も行っていますので、新製品開発の委託先をお探しの皆様、お気軽に当社にご相談ください。

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