技術コラム

2022.3.17

プラスチック成形時に起きる不良の種類とは?

プラスチック成形とは?

プラスチックとは合成樹脂のことで、石油などを原料として化学的に合成した素材でありJISでは「高分子物質(合成樹脂が大部分である)を主原料として 人工的に有用な形状に形作られた固体である。ただし、繊維、ゴム塗料、接着材などは、除外される」と定義されています。プラスチック(Plastic)の語源は、ギリシャ語の形容詞「plastikos(可塑性のある)」と言われていることもあり、熱を加えることで簡単に溶け、自由に変形する性質を持つため同形状の成形品の大量生産が可能となります。またプラスチックの中には耐熱性が高い樹脂や、金属の様に硬い樹脂、軽くて丈夫な樹脂等、合成する素材によって様々な特性を付加させることが可能です。さらに金属のように錆びることや木材のように腐ることのない素材ですので使用場所を選べば金属をもしのぐ材料となっています。

プラスチックは大きく加熱すると硬くなり元には戻らない性質の「熱硬化性樹脂」と、加熱すると軟らかくなり冷やすと固まる性質の「熱可塑性樹脂」の2種類に分類されています。ただ、流通しているプラスチックの90%を占めているのは熱可塑性樹脂です。

プラスチック成時の不良とは?

下記にて代表的な成形材料の特徴や用途、注意点、成形条件、物性などをご紹介します。

  • バリ

バリとは、金型の合わせ面の隙間や、突き出しピンなどの隙間に樹脂が溢れる現象のことを指します。バリが発生する原因として樹脂・金型温度が高い場合や充填圧力、保圧が高すぎることで、金型が開きバリが発生します。

  • ショートショット

ショートショットとは、成形時に樹脂が製品の末端まで行き渡らず完全に充填されていない状態のことを指します。主な原因としては、樹脂量・射出圧力の不足または樹脂の金型内への流入がスムーズでないことが挙げられます。そのため、樹脂・金型温度の見直しや射出速度、圧力の見直しが重要となります。

  • ヒケ

ヒケとは成形品の表面に歪みや凹みが発生している状態のことを指します。ヒケの発生場所の多くは肉厚差が大きい箇所です。主な原因としては、金型内部と表面の温度差による体積収縮の違いです。樹脂よりも温度が低く、熱伝導が良い金型に面している表面の方が早く固化し、内部は表面よりもゆっくりと固化するために内部が縮みながら固まりヒケとなってしまいます。そのため、製品設計時に出来る限り肉厚を均一にすることや肉厚部にゲートを付けることが重要となります。

  • ボイド

ボイドとはヒケと同様に成形品表面が固化した後に内部に発生する空隙状の欠陥のことを指します。先述のヒケは表面に出来るのに対し、ボイドは内部に出来ることが特徴です。原因はヒケと同様に樹脂の流動性、温度差の問題が挙げられます。これを抑制するためには肉厚の均一化に加え、樹脂温度を下げることや射出速度を下げるといった収縮を小さくすることが挙げられます。

  • 反り

反りとは、成形品の形状が不良変形することにより成形品が曲がったり、ねじれたりする状態のことを指します。反りの原因は主に金型の温度差で生じ、キャビ側、コア側の温度の違いで収縮度合が異なってしまうからです。これを抑制するためには金型温度を均一に調整することが重要となります。

  • シルバーストリーク

シルバーストリークとは別名銀条とも言われる不良のことで、成形品の表面に筋状の模様が発生する現象のことを指します。シルバーストリークの原因は材料の乾燥不足による水蒸気や空気によるもので、成形材料の中に含まれている空気や材料を溶かす際に巻き込まれる空気、さらに射出工程で型に巻き込まれます。これを抑制するためには、樹脂温度を下げることや樹脂の滞留時間を短くすること、さらに材料をしっかりと乾燥させることが挙げられます。

  • ウェルドライン

ウェルドラインとは、主に成形品の表面に現れる線状の模様が発生する現象のことを指します。意匠性や強度的な面で問題となる不良です。ウェルドラインはキャビティ内に流動する樹脂が他から流れてくる樹脂と合流する位置で多く見られ、そこで樹脂同士が完全に密着していないことが原因となります。これを抑制するためには金型温度、樹脂温度の設定やゲート位置を考慮することが重要となります。

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