技術コラム

2022.7.15
バイオ・生分解性プラスチックについて

マスバランス方式の目的と環境に与える影響

近年では、バイオマス・生分解性プラスチックのような、自然環境に配慮して作られたプラスチック成形品が需要を集めています。さらに石油由来原料の削減の取り組みの一環として「マスバランス方式」も注目されています。そこで今回は「マスバランス方式」の目的と環境に与える影響をご紹介します。 

マスバランス方式って何?

マスバランス方式とは?

マスバランス方式とは、別名「マスバランスアプローチ」、「物質収支方式」と呼ばれる、特性を持つ原料を特性を持たない原料に混合させることで生産する製品の一部にその特性を割り当てる手法のことです。

例えばバイオマスプラスチック製品に当てはめて考えると、植物由来の原料を10トン購入し、石油由来の原料と植物由来の原料で併せて100トン分の製品を作ったとします。ここでマスバランス方式に基づくと、実際の植物由来原料の含有量に関わらず、出来上がった製品10トン分を植物由来100%の製品としてみなすことが可能となります。残りの90トン分の製品につきましては、石油由来100%の製品となります。

つまり、購入した植物由来の原料と同じ量だけ製品へ植物由来原料という特性を割り当てる事が出来る為、植物由来を100%割り当てられた製品については、実際の植物由来原料の含有量とは関係なく、植物由来100%の製品としてみなされます。一度に化石資源からバイオマス原料に置き換えていくことは困難ですが、マスバランス方式を用いると、原材料生産者に少しでも多く再生可能原料の使用を促す効果があります。 

マスバランス方式は、各業界でこれから普及してくると予想されています。主な理由としまして、化石燃料の使用による環境負荷の低減が社会的や企業的に求められているからです。しかし、バイオマス原料100%製品を製造するのに大きな問題があり、時間とコストの面で普及の妨げとなっています。そのため、少しずつバイオマス原料を使った製品の普及を目指していくために、マスバランス方式を広めているのが現状です。

マスバランス方式が与える影響

ここからはマスバランス方式が与える影響を説明します。

マスバランス方式の目的と課題 

マスバランス方式の目的として、プラスチック製品を作る生産者に少しでも多く、環境に配慮した原料の使用を促す目的があります。本来は、環境のことを考えると、原材料のすべてをバイオマス原料に置き換えることが、最も良い方法になります。しかしマスバランス方式を使用せずに、バイオマス原料を多く含んだものを作ろうとすると、新たな設備投資をしないといけなくなる可能性があります。また、バイオマス原料の安定的な供給が難しい上に、従来の化石燃料と比べ、原料コストが高いことも大きな課題になります。

マスバランス方式のメリット 

マスバランス方式の手法を使うことのメリットは大きく2つあります。

一つ目は新たな設備投資や品質管理などの大がかりなコストが発生しない点です。既存の石油由来品の一部をバイオマス原料に置き換えただけのため、基本的な性能は既存の石油由来プラスチックと同じになります。そのため新たな設備への投資をすることなく、既存の装置で生産することができます。

二つ目はバイオマス原料の使用を促進し、Co2の削減に貢献することができます。製品の基本的な性能は従来と変わらないため、お客様の求めるバイオマス100%の製品を提供することが可能となります。

当社が提供するマスバランスカトラリーとは?

プラスチック成形 ソリューションNaviを運営する東商化学では、マスバランス管理によるカトラリーの生産により、バイオマス100%のカトラリーを提供することが可能です。バイオマスを100%とする製品を生産する場合、設備投資や金型開発のコストがかかってしまうというデメリットがあります。しかし、マスバランス方式を採用することで、基本的な材料特性は従来のプラスチックと同等で、設備投資・金型投資を不要とすることで初期コストを抑えながら、バイオマス100%のカトラリーを生産・提供できます。マスバランス管理による製品を扱うためにはISCC PLUS 認証の取得が必要です。当社はISCC PLUS認証の取得企業であり、バイオマス100%製品を最適コストで使用したいという、お客様のご要望をかなえるパートナーとして選ばれています。

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環境対応製品についてよくある質問をまとめました!

1.環境対応製品に変更することで、使用感は変わりますか?

2.生分解性ポジティブリストをいただくことは可能でしょうか。

3.保有する認証規格について教えてください

4.どのようなバイオマス原料を使用していますか?

5.当社が実現出来るバイオマス度はどのくらいですか?

まとめ 

従来のプラスチック同様の性質と機能を維持しつつ、化石資源への依存低減を実現するために、より環境にやさしいプラスチック成形品の製造・開発が多く求められてきています。 当社ではバイオマス・生分解性プラスチックを材料とした環境負荷に考慮した製造・開発に取り組んでいます。特にプラスチック成形を事業とする当社にとって環境対応は最優先の遵守事項ですので、継続的に改善活動に取り組んでまいります。

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